名古屋地方裁判所 昭和46年(わ)118号 判決
本籍
名古屋市千種区大久手町一丁目五四番地
住居
同市同区東明町一丁目二八番地
衛生検査師
岩田実
大正一〇年一二月一五日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、つぎのとおり判決する。
公判出席検察官中田寿彦
主文
被告人を懲役七月に処する。
本裁判確定の日より四年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
罪となる事実
被告人は名古屋市千種区大久手町一丁目五番地において岩田血清検査所を、また三重県四日市市一七軒町六番七号において四日市臨床検査センターを設け、病院または医院などからの依頼による血液・し尿・細菌などの各種臨床検査を業としているものであるが所得税を免れようと企て
第一、昭和四二年分の実際の総所得金額は少なくとも一六一七万七、三六六円であり、これに対する所得税額は七二九万四、五〇〇円であるのに、検査料収入の一部を除外し仮名などの定期預金などを設定するなどして所得の一部を秘匿したうえ、同四三年三月一四日ころ名古屋市東区主税町三丁目一一番地所在名古屋東税務署において同署長に対し、その総所得金額が五九万八、三八六円でこれに対する所得税額が二万七、三〇〇円である旨の過少の所得税確定申告書を提出し、もつて、右不正な行為により正規所得税額と申告所得税額との差額七二六万七、二〇〇円をほ脱し
第二、同四三年分の実際の総所得金額は少なくとも一六三三万五、六八六円であり、これに対する所得税額は七三六万六、五〇〇円であるのに前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ同四四年三月一四日ころ同市千種区振甫町三丁目三二所在千種税務署において同署長に対し、その総所得金額が七六万九三五円でこれに対する所得税額が四万七、〇〇〇円である旨の過少の所得税確定申告書を提出し、もつて、右不正な行為により正規所得税額と申告税額との差額七三一万九、五〇〇円をほ脱し
たものである。
証拠
一、被告人の当公判廷の供述
一、第一回公判調書に引用の検察官証拠目録(一)の請求番号1-13および同(二)の請求番号1-21の各証拠
適用法令
判示第一、第二の所為に 各所得税法二三八条一項(いずれも所定懲役刑選択)
以上につき刑法四五条前段、四七条、一〇条(判示第二の罪を重いとした)、二五条一項一号。
刑事訴訟法一八一条一項本文。
(裁判官 山口正章)